そして、約十時間後。
私たちは無事にフライトを終え、ロサンゼルス国際空港──LAXに降り立っていた。
ロサンゼルスの春は、日本のそれとはやはり全く違う。
カラッと乾いた空気、刺すような日差し。
青く澄んだ空が、長時間フライトで疲れた体には少々眩しすぎる。
とはいえ、私は計画通りに機内でしっかり寝られたから、比較的脳内はすっきりしている。
一方で、隣を歩く遥風はというと──
既に目が半分閉じかけていた。
「……眠」
低く呟く声は完全に寝起きのそれで、まだほとんど半覚醒状態。
もしかして、私がずっと寄っかかってたせいで寝れなかったのかな──
邪魔なら全然押しのけてくれてよかったのに。
そして、もう一人、問題なのは──
「……おぇ……」
完全に飛行機酔いの真っ只中の彼、冨上栄輔。
足取りも覚束ないまま、ふらふらと私の方へ寄ってくる彼。
「……肩に腕回して、栄輔」
ちょっと心配して肩を貸すと、「っす……」と声と呼吸の中間みたいな音を出し、ぐったりと全体重を預けてくる。
うっ、思ったより重……って、そりゃそうか。男の子だし、身長も私より余裕で高いし。
あんまり揺れなかったと思うけど、おそらく元々乗り物酔いしやすいタイプなんだろう。
と、そんな瀕死状態の彼に、先ほど自販機で買ってきたのであろうペットボトルの水を片手に歩み寄る遥風。
「なぁ千歳。これさっき買ったんだけどさ、一本5ドルもした。やばくね?」
そんな愚痴を私にこぼしながら、恨めしげにペットボトルの蓋を開ける遥風。
5ドルって、今の日本円だと、800円くらい?
確かに、高い……。ぼったくりじゃん。
