それから、およそ数十分後。
どこか緩んだ空気が漂い、あちこちで雑談が飛び交うスタジオ。
そんな空気を一変させるかのように、ふっと照明が落ち、舞台上のプロジェクターが明るい光を放つ。
──審査員たちが、帰ってきた。
一瞬にして、場内の空気が張り詰める。
ついに、一次審査の結果発表が始まるのだ。
審査員たちは、壇上に設置された席に腰を下ろした。マイクを握るのは、審査員長の巫静琉。氷のように冷たい瞳が、静かに会場を見下ろす。
「只今、審査員による評価が終了しました」
威厳のある低い声が響き、息を潜める参加者たち。ビリビリと肌で感じる、凄まじい緊張感。
当然だ。ここにいるほとんどの参加者が、人生を懸けてここにいるのだから。
「では、早速ですが──この一次審査を通過できる『人数』から、発表していきます」
巫静琉が軽く指を動かすと、プロジェクターの画面が切り替わる。
派手なエフェクトと共に、映し出された数字は──
『27』
70人中、27人。
その想像を遥かに超えるシビアな数字に、会場が大きくどよめいた。
歴代のエマプロでも、おそらく最大の振り落とし人数。この場にいる半数以上の参加者が、ここで夢を絶たれる──その現実が、容赦なく突きつけられる。
「今回の審査基準は、これからの数ヶ月で即戦力になり得るか、否か。それだけです」
巫静琉の冷たい声が、淡々と告げる。実力至上主義のエマは、使えない人材には本当に興味がないんだろうな。
それにしても──果たして私、きちんと入れてる?
手応えはあるし、講評も概ねポジティブなものだったけど……色物としてウケが良かっただけかも。ちゃんと実力を買ってくれてるか、不安だな。
「ではまず、27位〜11位までの参加者を発表します」
その言葉を合図に、心の準備をする間もなく、プロジェクターの映像が切り替わった。
煌々と光るスクリーンに、ずらりと並ぶ参加者たちの名前。
誰もが必死に画面に視線を走らせ、自らの名前を探す。
張り詰めた沈黙の中、安堵と失望、歓喜と落胆が交錯。
私も、自分の名前を探すけど──まだないっぽい。
代わりに目に留まったのは、見知った名前たち。
25位──限界オタク、小山明頼。
23位──先ほどまで隣で青ざめていた、灰掛遼次。
14位──兎内双子の弟の方、兎内雪斗。
私の横で、小さく肩を震わせながら、遼次が嗚咽を漏らした。
堪えきれずに涙が頬を伝う彼に、私は心の中でそっと労いの言葉を送る。
あそこまで緊張していたのにも関わらず、安定した歌唱力と楽曲のアレンジ力で審査員から高評価をもらっていた彼。この短い準備期間で、曲の編集までこなすなんて、大したものだと思う。
──なんて、呑気に他の参加者のことを考えている場合じゃない。私が10位以内に入れている確証なんて、どこにもないんだから。
「では、次に──トップ10の発表に移ります」
巫静琉の声が再び響き、会場にこれ以上ないほどの緊張感が張り詰めた。
誰もが呼吸を忘れ、ステージ上のプロジェクターに視線を集中させる。
派手なエフェクトと共に映像が切り替わり──トップ10人の名前が、ずらりと表示された。
どこか緩んだ空気が漂い、あちこちで雑談が飛び交うスタジオ。
そんな空気を一変させるかのように、ふっと照明が落ち、舞台上のプロジェクターが明るい光を放つ。
──審査員たちが、帰ってきた。
一瞬にして、場内の空気が張り詰める。
ついに、一次審査の結果発表が始まるのだ。
審査員たちは、壇上に設置された席に腰を下ろした。マイクを握るのは、審査員長の巫静琉。氷のように冷たい瞳が、静かに会場を見下ろす。
「只今、審査員による評価が終了しました」
威厳のある低い声が響き、息を潜める参加者たち。ビリビリと肌で感じる、凄まじい緊張感。
当然だ。ここにいるほとんどの参加者が、人生を懸けてここにいるのだから。
「では、早速ですが──この一次審査を通過できる『人数』から、発表していきます」
巫静琉が軽く指を動かすと、プロジェクターの画面が切り替わる。
派手なエフェクトと共に、映し出された数字は──
『27』
70人中、27人。
その想像を遥かに超えるシビアな数字に、会場が大きくどよめいた。
歴代のエマプロでも、おそらく最大の振り落とし人数。この場にいる半数以上の参加者が、ここで夢を絶たれる──その現実が、容赦なく突きつけられる。
「今回の審査基準は、これからの数ヶ月で即戦力になり得るか、否か。それだけです」
巫静琉の冷たい声が、淡々と告げる。実力至上主義のエマは、使えない人材には本当に興味がないんだろうな。
それにしても──果たして私、きちんと入れてる?
手応えはあるし、講評も概ねポジティブなものだったけど……色物としてウケが良かっただけかも。ちゃんと実力を買ってくれてるか、不安だな。
「ではまず、27位〜11位までの参加者を発表します」
その言葉を合図に、心の準備をする間もなく、プロジェクターの映像が切り替わった。
煌々と光るスクリーンに、ずらりと並ぶ参加者たちの名前。
誰もが必死に画面に視線を走らせ、自らの名前を探す。
張り詰めた沈黙の中、安堵と失望、歓喜と落胆が交錯。
私も、自分の名前を探すけど──まだないっぽい。
代わりに目に留まったのは、見知った名前たち。
25位──限界オタク、小山明頼。
23位──先ほどまで隣で青ざめていた、灰掛遼次。
14位──兎内双子の弟の方、兎内雪斗。
私の横で、小さく肩を震わせながら、遼次が嗚咽を漏らした。
堪えきれずに涙が頬を伝う彼に、私は心の中でそっと労いの言葉を送る。
あそこまで緊張していたのにも関わらず、安定した歌唱力と楽曲のアレンジ力で審査員から高評価をもらっていた彼。この短い準備期間で、曲の編集までこなすなんて、大したものだと思う。
──なんて、呑気に他の参加者のことを考えている場合じゃない。私が10位以内に入れている確証なんて、どこにもないんだから。
「では、次に──トップ10の発表に移ります」
巫静琉の声が再び響き、会場にこれ以上ないほどの緊張感が張り詰めた。
誰もが呼吸を忘れ、ステージ上のプロジェクターに視線を集中させる。
派手なエフェクトと共に映像が切り替わり──トップ10人の名前が、ずらりと表示された。
