「お前、自分だけはまともみたいな立ち回りしやがって……」
「いやっ、違う違う違う。誤解ある」
いや無いでしょ。確信犯だよね?
言い訳下手な栄輔が上手く言い逃れできるはずもなく、遥風に詰められ始めている。
そんな場を前に、爆弾を投下した張本人の翔は知らん顔。
さらっと軽く髪をかき上げて、そのまま私の隣に腰を下ろしてきた。
ドサッ、と隣に座った彼に、内心ビクッとしてしまう。
この人、普通にしているだけでもオーラが痛いほど伝わってきて、いまだに慣れない。
恐る恐る表情を伺おうとちら、と視線を投げると。
見られていたらしく、バチッと完璧に視線が合った。
あ、やば……。
不自然に逸らすのも気まずかったので、ちょっと首を傾げて見上げてみると。
翔はちょっと目を見開いた後──
ふい、と視線を逸らす。
そして。
「……ホント、勝手な行動しすぎ」
と、普通に毒を吐かれた。
……ですよね〜。
この人の私に対する態度は、何があろうと一貫しすぎていて逆に清々しい。
謎に優しくしてきたかと思えば冷たくしてくる遥風よりは分かりやすくてマシなんじゃないかな……。
それに、こっちが勝手な行動して巻き込んでしまったのは紛れもない事実だし。
今日この場にこうして来てくれただけでも感謝しないといけない。
と、萎縮しつつもそんなふうに一人思考を巡らせていた、そのときだった。
──ガチャ。
突如、社長室の重たいドアが開く音。
ハッとして、反射的に顔を上げると。
そこに立っていたのは、静琉だった。
寝起きだろうか。
いつもの番組収録の時のスーツの正装姿とは似ても似つかない、ボサボサの髪、被っただけのパーカー。
その光景に、どこか既視感を覚えて──
数秒後、思い当たる。
鷹城葵に似てるんだ。
