さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「遥風は……ずっとずっと、あなたからの愛を求めていたはずなのに」


言いながら、自分の中で、何かが崩れていく音。

遥風のことについて、言ってるようだけど。


これはもう、きっと遥風だけの話じゃない。



今、私は、遥風に自分を重ねているんだ。



これ以上は、やめておいた方がいい。

ここで私が怒りをぶつけても、何もいいことなんかない。


そう理性が警鐘を鳴らすけれど、酔いのせいか、いつものように感情をコントロールできなくて。


「子どもを、自分の理想を叶えるためだけの道具にしないで。子どもがどれだけ親に振り向いて欲しいか、愛してほしいのか、考えたこともないんでしょ……!」



これは──


もうほとんど、私の言葉だった。



私が、死んだ母親にぶつけたかった怒り。行き場を無くした膿のような重い感情が、制御を失って溢れ出して。


同時に、頬を細く伝う涙の感触に気がついた。


言葉は止まらない。



「何をやっても、黒羽仙李はもう戻ってこないのに──あなたのやってることは、全部意味のない幻想なのに!!」



と、そう口にした瞬間だった。

睦の目の色が、変わった。