僅かに口を開けたまま硬直する私を一瞥もせずに、淡々と続ける篤彦。
「で、今回のオーディションには参加者兼スパイ要員として潜り込んでる。つまり、峰間のとんでもない女癖の悪さとか、千歳くんのひっどい猫被りとかは、俺経由でぜーんぶカンナさんに筒抜けってこと」
お疲れさーん♡とキラキラした笑顔を向けてくる彼に、私は内心冷や汗だらっだらだった。
待って、嘘でしょ?
つまり、どれだけスタッフたちの前で愛想の良いキャラ演じてても──
最終的に全ての決定権を持つ最高権力者には、とっくに問題児だってバレてるから意味ないってこと?
え、そんなの普通に落とされるじゃん……!
表情を固まらせて凍りつく私を、完全に面白がってるみたいな篤彦の表情。
「ま、その分千歳くんの功績もちゃんと伝わってるしな。プラマイゼロやろ?」
う……まあ、確かに栄輔を助けたことが伝わってたのはプラスだけど。
けど、それでもマイナスが残るくらいに、私は色々やらかしてきた気がする。
何も言えなくなって俯く私を、「さっきから全然目ぇ合わへんな」と覗き込んでくる篤彦。
「っ……」
表情を見られる前に、慌ててぐいっとジュースを喉に流し込むと、甘ったるいジュースの味がやけに喉に引っかかる。
そんな私から視線を逸らさずに、口元に柔らかい笑みを携えたまま聞いてくる篤彦。
「てことで、千歳くんの本性が分からんとこちらとしても困るわけよ。もうちょい心開いてくれへんかなぁ」
「……」
