と、そんなわけで、超絶不本意ながらも私は椎木篤彦の部屋に招き入れられることとなった。
「はいこれ千歳くんの分」
「そっちのアイスコーヒーがいい」
「嫌や」
「帰っていい?」
せっかく来てやったっていうのに早速扱いが雑だな……。
内心呆れながらも、後で静琉に言いつけられても困るので、渋々渡されたハンバーガーセットとオレンジジュースを受け取る。
包み紙の上から伝わる温度が、妙に重たく感じた。
「そーいや千歳くん、翔くんにだいぶ扱かれてるらしいな。栄輔から聞いたで」
何気なくアイスコーヒーを口に運びながら、会話を切り出してくる篤彦。
その言葉に、ちょっと気まずくて視線を落とす。
今日の翔も、依然として私には厳しい態度を取り続けていた。
全部、私の実力不足が原因。
わかってるんだけど、それでもあの時『辞退して』発言は、今でも思い出すと、胸がずしんと沈む。
憂鬱になる私を前に、ゆったりと薄く笑う篤彦。
「気にせんでええと思うよ〜?多分翔くんも俺と同じく、あんたがどういう人間なんか知りたいだけやと思うから」
翔のスパルタ練習で切り裂かれた心に、篤彦の慰めの言葉がじわりと染み込んで、思わず絆されかける。
──けれど、ちょっと待って。
翔が、私が一体どういう人間なのか知りたがってるから私に冷たくしてるって……?
てっきり、翔は純粋に私のことを嫌ってるから冷たくしてきているものだと思っていたのに。
まさか、彼のあの冷たさや厳しさって、私の素を炙り出す目的でもあったってこと?
嫌われてるんじゃなくて──
試されてる?
