『NoirEden』雪永さくら。『SYNTH♡DROP』黒鳥ひなき。女優の千堂梓、白川陽依。
他にもたくさんの女と頻繁に連絡を取り、スケジュールが合った時にはバレないように会っていた。
千歳を忘れたいなんて、自分勝手かつ最低すぎる動機のもとで始めた数々の関係たち。
彼女たちのおかげで、表面的な傷は確かに癒えてきた。承認欲求が満たされて寂しさも和らいでいたし──
予想より何倍も簡単に女が自分に依存していくから、自分の中に余裕すら生まれていた。
……でも、だからといって、俺の中に深く沈殿する重い未練が消えることはなく。
三次審査中、千歳が峰間京や鷹城葵にやたら近い距離で絡まれているのを見て死ぬほど苛立ってたし。
本来、お前の隣に立っていたのは俺だったはずなのに──
俺無しで幸せそうにしてんじゃねぇよ。
なんて、そんな独占欲まで湧き上がってしまうほどだった。
女遊びだけじゃ、ダメだ。
もっと、根本的な執着の原因を断ち切らないと──俺は一生、榛名千歳に囚われ続けたまま。
だったら、その根本的な執着の原因ってなんなのか。
そう考えたときに俺の脳裏によぎった、ひとつの可能性。
俺は──本当は榛名千歳のことが、憎くて憎くて仕方がないんじゃないだろうか。
俺をこっ酷く裏切ってこんなにも悩ませておいて、当の本人はもう吹っ切れて他の男と楽しそうにしてる。
それがどうしようもなく妬ましくて、その怨念を──
未練と混同してしまっているだけなんじゃないか?
だったら。
──自分が傷つけられた分、同じように千歳を傷つけてやれば。
恨みが晴れて、この『未練のような感情』も発散できるんじゃないだろうか。
そして、千歳も自分と同じように、俺のことで悩んで悩んで壊れそうになってしまえばいい。
そうすれば、千歳の中に『俺』という存在を刻み付けられるし、良い仕返しになるだろう。
そんな思考のもとで、四次審査が始まってから、俺は千歳にアプローチを仕掛けていった。
いろんな女と関わって得たスキルを総動員して、千歳に俺を意識させて──
期待させて、惚れさせて。
そして最後に女遊びを明かし、『お前は遊びだった』と突きつける。
そのつもりで、自分から積極的に近づいたのだ。
