蓄積した疲労感のせいなのか、親から受け続ける暴力のせいなのか。

最近の練習後は、いつもやけに身体が痛む。

ズキズキと重たい身体をソファに投げ、常備してある鎮痛剤を一錠、ぐいっと流し込んだ。


朦朧とする意識。霞んだ視界。浅い呼吸。


その全てが、今の自分の体の不調を、これでもかと言うほど訴えてきている。

すぐ動く気にはなれず、身をソファに沈めたまま、ぼうっと宙を見つめた。


──モチベーションは皆無。


というのも、どうせ、この番組の結果がどうであろうと、俺はここからデビューすることはできないのだから。

一体、これから何のために努力すればいいのか分からなかった。


いつもこうなる。

自分の夢をに手を伸ばそうとすれば、後ろから無理やり腕を引き戻されて、進行方向を変えさせられる。

そして、それに抗えない。


おかしいよな。


今回ばかりは、絶対に諦めないと思って挑んだはずの舞台だったのに。

どうしてこうなってしまったのか──原因は、分かりきっていた。


榛名千歳。


脳裏にフラッシュバックする、彼女の横顔。

作り物のように、整った顔立ち。長い睫毛。宝石みたいに煌めく、どこか冷たい瞳。

いつも哀しい顔をして、誰にも頼まれてないくせに自分を犠牲にして、勝手に背負って、勝手に苦しんで。

そんな彼女から──俺は、ずっと目が離せないでいた。