さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


抗議するように押しやろうとするけれど、私なんかの力じゃもちろんびくともしない。

チュ、チュ、と酸素を奪うような深い口付けに、脳内に熱が昇っていって。

ようやく唇を離れ、くた、と力が抜けてしまったところを抱き止められる。


「いつまで経ってもキス慣れないの、ほんとかわいい」


揶揄うように言いながら、再度私の背中を優しく撫でてくる京。


今日の京の強引さ、本当になんなの……?


いつもは強引とはいえ私が嫌がったらやめてくれるのに、今日の京は全然聞いてくれなかった。


──そんなに、私が彼に心を開いたのが嬉しかったんだろうか。


にしても、同意もなく急にここまでしてくる……?


まるで誰かにこの距離感を見せつけたいみたいな強引さに、ざらりとした違和感を覚えてしまう。


練習後のスタジオなんて、誰に見られるかも分からないんだから、もうちょっとリスク管理をしっかりしてほしい。


過度なスキンシップはちゃんと規制していかないとな……とひとり反省しつつ。


私は熱に浮かされた脳を落ち着かせるように、京の肩に額を預け──深くため息を吐くのだった。