さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「んっ……?!」


やば、い。

まさかキスされるとは思っていなくて、慌てて逃げようと身を引くけれど──

すぐに手首を掴まれ壁に固定され、身動きが取れなくなった。


わざと音を立てるみたいな深いキスに、脳の芯がじんじんと甘く痺れていく。

ちょっと耐えれば離れてくれるかな、なんて思って、身体の力を抜くと。


それを同意だと受け取られたのか──

手の拘束が無くなった代わりに、今度は両頬に手を添えられ、しつこく唇が重ねられる。


……こんな場所でこれは、流石に危うい。


理性をドロドロに溶かしてくるような京のキスに、なんとか抗って、私は無理やりに顔を背けようとする。

けれど、その隙をついて今度は私の首筋に唇を寄せ──強く吸い付かれた。


「っ……!」


首筋に、ピリッと微かな痛みが走って。


「あー……ごめん、跡付いちゃった」


ごめん、なんて言いながら、全く悪びれる様子はなく、意地悪く微笑んで見下ろしてくる京。

付いちゃった、じゃないよ。絶対わざとでしょ……。


「……誰かに見られたらどうするの……」


首筋を手で覆いながら、なんとか弱々しく抗議するけれど。

すると京は、そんな私を前に、何か悪戯を思いついたみたいに目を細めて──

そっと、耳元で囁いた。


「じゃ、千歳からキスしてよ。そしたらやめてあげる」