ダメだ、一旦素数を数えて落ち着こう……と脳内で必死になる私を嘲笑うみたいに、さら、と再度頭が撫でられる気配。
そして。
「……無防備すぎ、ほんと」
ぽつり、と囁かれたかと思うと──
チュッ。
唇と唇が触れ合う感触がした。
…………え?
一瞬、完全に思考が停止して固まる。
今……キス、された?
頭が真っ白になったまま、いまだに状況を飲み込めない。
そんな私の耳元で、ごくり、と生唾を飲み込むような音がしたかと思うと。
再度顎を掴まれ、上向かされて──
もう一度、唇が重なる感触。
そのまま、感触を味わうように、下唇を彼の唇で軽く挟まれる。
……う、わ、待って、待って待ってちょっと待って。
本当にどういうこと?栄輔ってこういうことするタイプだっけ……?!
顔に熱が昇って、今すぐにでも身を引きたかったけど、寝てるふりをしているからそうもいかない。
とはいえ、視界を閉じているからか、キスの刺激がいつもより敏感に伝わって、このまま平静を装っていられる自信もない。
どうしよう、このままじゃ寝たふりがバレる──!
と、完全に絶体絶命な状況でされるがままになっていた、その時だった。
「栄輔〜?」
「うっ、わっっっ?!!」
遠くから響いた、聞き覚えのある声。
それに反応し、目を瞑っていても分かるくらいびくっっと飛び上がって遠ざかる気配。
……った、助かった?
