「俺と翔と遥風、三人ともエマ傘下のダンススクールに通ってて。そこの非公開オーディションを通じて、三人一緒にエマからデビューする予定だったんです」
……なるほど。
三人は、ただの幼馴染じゃなくて、同じデビュー組だったってことか。
エマ傘下のダンススクールでは、たびたび人材を発掘するための非公開オーディションが開かれると噂で聞いたことがあった。それを通して、三人がデビュー組に選ばれたってことなんだろう。
ひとり納得する私に、栄輔は目を伏せて続ける。
「もうほとんどデビュー確定で、事務所内のデビュー直前最終審査まで進んでて。その日のステージで、照明落下事故が起こった」
驚くほど淡々と告げられたその事実に、一瞬、息が止まった。
照明落下事故。
機材の固定不良や経年劣化によりまれに起こる、人命に関わる大きなアクシデント。
その続きを聞くのが怖くて、ドクドクと心臓が嫌に高鳴る。
表情を隠すのも忘れて目を見開く私を前に、目を伏せたまま、ふっと哀しげに笑う栄輔。
「……俺が下敷きになったんです。診断結果は複雑骨折、デビューはもちろん白紙。翔も遥風もそれぞれ別々にデビューして、俺だけ一人取り残されちゃいました」
自嘲気味にそんなことをこぼす栄輔に、きゅう、と嫌でも心臓が締め付けられた。
そんな過去があったなんて。
……どれだけ、苦しかっただろう。
ずっと一緒に練習してきた幼馴染と、ようやくデビューの夢を掴みかけたのに、自分の怪我のせいで白紙になって。
翔と遥風はテレビの中で輝かしい活躍をする中、自分だけが一般人に戻って、治療に専念せざるを得なくなったんだ。
そんなの私だったら、生きる意味を失ったも同然で、何もかもが嫌になってしまうと思う。
けれど、決してそこで諦めてしまわずに、リハビリを重ねて、今ここまで回復してもう一度夢を追っている栄輔。
そんな彼の努力に計り知れないものを感じて、私は自分の表情を隠すようにふっと俯いた。
