私は、翔の講評内容もろくに聞かずに、ぐるぐると思考を巡らせていた。
今まで私は、あくまで『男に見えるように』というポイントを徹底してきた。
本家に寄せた、いわゆる『可愛さ全振り』のスタイルでいくと、女だって勘づかれてしまう恐れがあると思ったから。
けど──リスクを避けた無難な表現で、果たしてこの場に爪痕を残せるのか?
絶対に無理だ。ただでさえインパクトの少ないパフォーマンススタイルが、天鷲翔効果でさらにショボく見え、下手したら落とされる可能性だってある。
ならば、何をすべきか。選択肢は1つだった。
男にはできない表現を突き詰める──つまり、『可愛い』に全振りすること。
一瞬、視聴者が『女の子?』と錯覚してしまうような、そんなギリギリのラインを攻める。
本当は女だからこそできる、甘く、柔らかく、繊細な表現で、究極の『可愛い』を演出する。
リスクはもちろんあるけれど──なりふり構っていられる状況じゃない。
思考がまとまったところで、ちょうど天鷲翔の講評が終わったようだった。
プロジェクターには、最後の一人、私の名前が映し出される。
【榛名千歳 / CHITOSE HARUNA】
悪名高い私の名前に反応し、周囲がざわめき始める。
「あいつ……天鷲翔の直後でしかも大トリとか、可哀想すぎ」
「アレ相当な問題児だろ?顔良いからって調子乗ってるっていう」
「バチ当たったんだろ」
まばらに聞こえてくるそんな囁き。聞こえてますよ、と心の中で呟きながら、私は立ち上がる。
狙うは──インパクトのみ。
できる限り強烈に、鮮烈に。
会場にいる男を全員魅了する勢いで、一生懸命頑張りますか。
今まで私は、あくまで『男に見えるように』というポイントを徹底してきた。
本家に寄せた、いわゆる『可愛さ全振り』のスタイルでいくと、女だって勘づかれてしまう恐れがあると思ったから。
けど──リスクを避けた無難な表現で、果たしてこの場に爪痕を残せるのか?
絶対に無理だ。ただでさえインパクトの少ないパフォーマンススタイルが、天鷲翔効果でさらにショボく見え、下手したら落とされる可能性だってある。
ならば、何をすべきか。選択肢は1つだった。
男にはできない表現を突き詰める──つまり、『可愛い』に全振りすること。
一瞬、視聴者が『女の子?』と錯覚してしまうような、そんなギリギリのラインを攻める。
本当は女だからこそできる、甘く、柔らかく、繊細な表現で、究極の『可愛い』を演出する。
リスクはもちろんあるけれど──なりふり構っていられる状況じゃない。
思考がまとまったところで、ちょうど天鷲翔の講評が終わったようだった。
プロジェクターには、最後の一人、私の名前が映し出される。
【榛名千歳 / CHITOSE HARUNA】
悪名高い私の名前に反応し、周囲がざわめき始める。
「あいつ……天鷲翔の直後でしかも大トリとか、可哀想すぎ」
「アレ相当な問題児だろ?顔良いからって調子乗ってるっていう」
「バチ当たったんだろ」
まばらに聞こえてくるそんな囁き。聞こえてますよ、と心の中で呟きながら、私は立ち上がる。
狙うは──インパクトのみ。
できる限り強烈に、鮮烈に。
会場にいる男を全員魅了する勢いで、一生懸命頑張りますか。