ちょっと傷つきながらも、私は怪訝そうな表情を装って首を傾げた。
「何を?」
何も勘付かれないように、今まで培ってきた演技力を総動員してシラを切ると。
遥風の瞳の奥に、わずかにホッと緊張が解けたような色が滲んだ。
「……や、なんでもない」
言いながら、スマホの画面に目を落として片手で操作し始める遥風。
……さっきの女の子たちからの連絡に返信しているんだろうか。
にしても、遥風がここまで色んな芸能人の女の子たちを引っ掛けられるスキルを持っているなんて正直思ってなかった。
峰間京とかと違って、完璧主義でプロ意識高そうだし、そのぶん女慣れとかあんまりしてなさそうって思ってたのに……。
……。
いや、そんなことないか。
頭撫でてきたり、すぐ肩抱いてきたり、キスマつけてきたり、キスしてきたり。
むしろ、全然女慣れしまくってる人の絡み方だった。
また、私の脳内で勝手に遥風のイメージを作り上げてしまっていた。
理想の投影なんて、私が母親にされて一番嫌だったことなのに、同じことをしてしまうなんてバカすぎるよ……。
と、一人自己嫌悪に陥る私の隣で、遥風はくしゃっと手癖のように髪をかき上げると。
「……ちょっと用できたから行くわ」
とだけ断り、荷物を肩に引っ掛けてスタジオを後にした。
……用、ね。
どの子との用なのかなぁ……。
お願いだから、遊ぶならちゃんと隠し通してほしいな。
バレたら最後、前科がついて、これからのキャリアにもすごく悪い影響を与えるだろうから。
なんて、ちょっと心配しながらその姿が去った方向を見ていた、その時。
