『陽依:12日はロケ終わった後にちょっとだけエマ寄るかもです!!会いたい……』
……は?
送り主、雪永さくらじゃない……?
……どういうこと?
名前と文の内容から推測すると──
最近エマのアクターズ部門からデビューした、新人女優の白川陽依だろうか。
動揺し、目の前の情報を処理しきれない。
これ遥風、まさかとは思うけど……。
いやでも脳裏によぎってしまった私の疑念が確信に変わるのに、そう時間はかからなかった。
ヴーッ、ヴーッ。
立て続けに震えるスマホ、次々と浮かび上がる通知。
『Hinaki:また名古屋だよ〜。三日連続移動で寝るタイミング無いのつらい……』
『梓:ねぇそれはやばいっしょ爆笑すっぱ抜かれたら終わり』
別々の名前、別々の口調。
けれど、それぞれのメッセージの内容は揃って芸能人っぽい匂いを纏っている。
みんなきっと、同じ業界の女の子たち。
…………あー。
なるほど。
心の中で、乾いた笑いが漏れる。
流石の私も、そろそろ察してしまった。
──皆戸遥風。
この人、完全にやってるな。
