と、そんな分析をしている間にも、明頼はズカズカと私の元へ歩いてきて──
ベリッ!と音がする勢いで京を引き剥がす。
そしてそのままくるりと私に向き直り、ドンッと頼もしげに胸を叩いた。
「千歳くん、もう大丈夫です!この変質者からは今後俺がお守りしま──」
と、ドヤ顔で台詞を全て言い切る前に。
グゥーーッ。
盛大な音を立てて明頼のお腹が鳴った。
……あーあ、せっかくカッコつけてたのに。
案の定、目の前の明頼の顔はみるみるうちに真っ赤になっていく。
と、そんな彼に向かって、ここぞとばかりに多方面から飛んでくる鋭い攻撃。
「明頼さっきから腹鳴りすぎやろ」
「バケモン飼ってるんちゃう」
「腹から声出すとかじゃなくて腹で声出してるもんな」
「おもろ」
人をイジるのが生きがいの悪魔たちに囲まれ、メンツを潰されまくる明頼。
なんだかこのグループ、明頼だけが不憫すぎるような……。
涙目で「俺いじめられてる千歳くん助けて」と縋ってくる明頼に普通に同情してしまうけれど、好感度を上げたくないので無視しておく。
……と、そんな四面楚歌状態の明頼を笑いながら、篤彦が自分のバッグからおもむろに売店のサンドイッチを取り出した。
たぶん、明頼にあげるんだろうな。
なんだかんだ言って、面倒見は良さそうだもんね、この人。さすが最年長。
と、ちょっと彼を見直しかけたけれど──
「千歳くん、どーぞ」
「え」
差し出されたサンドイッチは、なぜか私の手元に。
受け取る気満々だった明頼の手は空中で止まり、そのまま凍りついていた。
そんな明頼の反応を見て爆笑する篤彦、京、飛龍。この人たち全員もれなく性格が悪すぎる……。私、このグループじゃなくて本当に良かった。
