その後、私たちはグループごとに分かれてそれぞれのスタジオへ向かった。
とりあえず、四人で輪を作って座り込んで、まずはコンセプトについて固めようと思ったんだけど──
やっぱり、メンバーがメンバーなせいで、全く話は進まなかった。
当然だ。だって、まず遥風は栄輔のことを親の仇かってくらい憎んでる。
さらに、翔はそんな遥風のことを厄介な奴だって軽蔑してる。
そして、極め付けに私と遥風は完全な決裂状態だし。
ほんと、翔、一体どういう意図でこのメンバー選んだんだろう……。
と、そんな気まずい状況を打開するために栄輔が提案してきたのは、とりあえず小道具倉庫に行って使えそうな和風のものをかき集めてくること。
手元に何かあったほうが、具体的なイメージが湧いて、話し合いが進みやすいんじゃないか、とのことだった。
反対する人は居なかった。
全員、早くこの空気から抜け出したいという気持ちが一致していたのだろう。
結果、私たちは階下の小道具倉庫を物色しに来たのだけれど──
「倉庫二部屋あるし、二つに分かれて効率よく探さない?」
そんな翔の提案で、二組に分かれることになってしまって。
グーとパーでランダムに分かれた結果、なんの因果か、遥風と同じ組に。
そして、今私たちは──お互いに無言を貫いたまま、第一小道具倉庫の前に到着した。
……正直、気まずいにも程がある。
あれだけこっぴどく裏切って、罵声を叩きつけた相手と二人きり。
一体どんな顔をすればいいのか分からなくて、胃の奥が死ぬほど重い。
さっさと終わらせて帰るしかないか……。
