「選ぶ順番は──三次審査での順位の高い順。つまり、天鷲翔から始まり、峰間京、そして兎内陽斗の順で選んでいただきます」
静琉のその言葉に、会場が、緊張感で一層静まり返った。
当然だ。自分が誰と組むかで、この審査の合否は大きく変わってくるのだから。
最初にスタッフからマイクを受け取ったのは翔。
「──天鷲翔、一人目のメンバーを選んでください」
巫静琉からの指示に、翔は軽く頷いた。
陶器のように白い肌、スポットライトに当たって少し青く透けるような神秘的な黒髪。
奇跡みたいに完璧に配置された一つ一つの顔のパーツ。
自分がこの権利を得るのが当然とでもいうように、自信ありげに弧を描く唇。
その圧倒的な強者のオーラに、スタッフやカメラマンまで惚けた表情で彼を見つめる。
「僕が最初に指名するのは──」
翔の冷静な瞳が、ステージ下を見下ろした。
ほとんどの参加者が、エマプロ3期絶対エースに指名されたいと体に力を入れ、彼の言葉を待つ。
一方、私はどこか肩の力が抜けていた。
だって……私のことを大嫌いな彼が、私を選ぶはずがない。
彼のような完璧ストイック人間のチームに、私のような反乱因子はきっと不要だ。
多分、いつも一緒にいる栄輔か、篤彦あたりを選ぶんじゃないだろうか。
と、そう思っていたのに。
「榛名千歳くん」
告げられたのは、私の名前だった。
