この前、日茉里と一緒に、『榛名千歳は一体誰とのケミでバズるのか』っていうトピックでディベートしてて、日茉里は『冨上栄輔』、私は『新海飛龍』の立場で熱弁を繰り広げた。


『一次審査ちゃんと見た?冨上の千歳くんへの懐きようやばかったからね?絶対に年下天才ケミで大人気になるって』
『いーや、この後絶対に飛龍くんが千歳に猛アプローチするね。だって一次審査中ずっと千歳のこと可愛いなーって感じで見てた』


……とか言ってるけど、実はこれ、二人とも『皆戸遥風と千歳くんのケミが見たい』っていう希望はあった。

けれど、なんとなく、折りが合わなさそうだなって思って諦めていたのだ。

ちょっとヤンキーっぽい遥風に対して、どこかふわふわしてそうな千歳くん。

多分、千歳くんが萎縮しちゃって、どうしても先輩後輩みたいな関係から抜け出せなくて、あんまり上手くいかないんじゃないかな。

だから、悔しいけど何か他のところで推しを見つけよう……そう思って、目をかっ開いてテレビの画面を見つめる。

まず最初に映し出されたのは、私が前回ちょっといいなって思った兎内陽斗くん、そしておそらくその双子の弟の雪斗くん。

あと……、あれ?

「この子って誰だっけ?」
「小山明頼だよ、ほら、あのスイモニ強火オタクの」
「あぁ……!」

顔だけ見たら思い出せなかったけど、スイモニと結びつけると一気に記憶が蘇ってきた。

千歳くんのパフォーマンスの後に、インタビューで『視聴者のみなさん、俺じゃなくて千歳くんを推してください!』とか大興奮して布教してたあの子か。

「この3人、ネット情報によると、同じ事務所出身らしい。モネプロ分かる?」
「ああ、あの……『femto』とかの?」
「そうそう、だから仲良いんじゃないかな」

そんな日茉里の補足情報に頷きつつ、私は画面を見つめる。

どうやら彼らは、朝日の差し込むラウンジ?のような場所ででだべっているようだった。