さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


「栄輔お前そのポジションせこいやろ!」
「飲み会で一番男に嫌われる男じゃん」
「もーマジでうっさい……」

それにしても、この癖強メンバーだと栄輔が苦労人末っ子ポジションになっちゃうんだ……なんか新鮮。

ちょっと可哀想だな、と同情しかけたけれど。

「全員俺より視聴者人気低いくせに、しゃしゃんなって感じっすよね」

前言撤回、ちゃんと好戦的だった。

「冨上てめぇ表出ろや」
「大先輩が愛の鞭で叩き直してやるから⭐︎」

ああ、今度はこっち側でバトルが発生し始めた……。

と、完全にカオスになりかけた部屋の中。

その混乱を鎮めるみたいに、突如、プロジェクターの画面が切り替わった。

『EMERGENCE PROJECT Season3-EP.3』

光の粒子と共に映し出されたそのロゴに、一瞬騒ぎが静まる。

見ると、パソコンの前に座った雪斗が一人で勝手にアーカイブを再生し始めたらしかった。

「……何勝手に始めてんだよっ!」
「お前ら乱闘に忙しいらしいから一人で見ようかなって」

言ってる間にも、プロジェクターの映像はどんどん進んでいくので、みんな焦り始める。

「おい、明頼カーテン閉めろ電気消せ!」
「指図すんなっ!」
「うるさいもう喋んなお前ら」

慌ただしく電気が消され、光が遮断された薄暗い空間の中、青白く浮かび上がるプロジェクター。

ただアーカイブを見に集まっただけなのに、よくここまで騒がしくできるなぁ。

私は内心呆れつつ、視線を前方のプロジェクターに投げる。


『前回──容赦ない個人審査によって、全国から集まった精鋭参加者たちは半数以下にまで絞られることとなる』


ナレーションと共に、画面に流れる前回までのダイジェスト。

そのバックには、緊迫感のあるBGMが流れ続ける。


『脱落者の涙、残された者の焦燥。
夢を抱え、野心を秘め、牙を研ぐ少年たち──』


「今俺映った!ビジュ良っ!」
「僕の隣にいたから映っただけでしょ」
「お前ブス」
「黙れよ」

番組が始まってもなお騒がしい参加者たちに、私はちょっと心の中でため息を吐く。やっぱりこの鑑賞会に参加したのは失敗だったのかもしれない……。

と、ひとり後悔をしていると。

「……千歳くん」

声をひそめて耳元で名前を呼ばれ、ちょっとビクッとしてしまった。