分量が少なくて世間からの注目が集まらないなら、自分でどうにかして認知度を上げればいい。
正攻法で勝ち切れないのなら、別の角度から攻めてでも、デビューのチャンスを掴みにいく。
その執念と必死さは──私も、見習うべきだ。
芸能界って、受け身なだけじゃきっと無理で、自分から何かを仕掛けていかないと、あっという間に埋もれてしまうから。
今までずっと上位をキープしてきた陽斗がここまで必死になっているんだから、崖っぷちの私は、もっと何か頑張るべきなんだろうな。
なんて、そんなことを考えていると。
ふと、誰かが隣に腰を下ろしてきた。
「……千歳くん」
名前を呼んで優しく微笑みかけてきたのは、冨上栄輔だった。
──なんだか、すごく久しぶりに会った気がする。
私の記憶の中の栄輔よりちょっと髪が伸びて、前髪が目にかかり、どこか別人みたい。大人っぽくなった……?
そして、学校帰りなのか、中学の制服に身を包んでいる。
ちょっと胸元を開けたYシャツ、緩めたネクタイに、紺色のブレザー。
「……学校帰り?」
「はい。せっかくだし、友達に会ってこよっかなって」
そう言って、軽く髪をかき上げる栄輔の横顔を見つめる。
見るからに陽キャそうっていうか、友達多そうだもんね、栄輔。
私は多分、当分は行けないな……。
ちょっと目を伏せる私をじっと見て、栄輔はちょっと困ったように微笑んできた。
「……すんません、うるさいっすよね。いつもこうなんすよ」
そう言ってちょっと肩をすくめる栄輔は、やっぱりどこか雰囲気が違う。
制服のせいなのかな。
……まぁ、中2なんて、男の子の成長期真っ只中だし、少し会わないうちに雰囲気が変わるなんてよくあることなんだろうけど。
