そんな明頼を皮切りに、他のメンバーたちも次々に好き勝手なことを言い始める。
「あ、ああきより、わかる、けど、ぉ、おぉ落ち着、落ち着け」
「これリアコ爆発大惨事起こるでしょ」
「かっわいい……」
あぁもう、なんかどんどん好感度上がってるし。当初の目的と真逆な現象起こってる……。
「……姫、ほんまに俺と付き合うてみん?」
頭上から真顔で降ってきた関西弁に、ビクッと肩を震わせる。
えっ、なんて……?
私がその意味を飲み込むよりもよっぽど早く、光の速さで飛龍の体から私が引き離された。
その犯人は案の定小山明頼。
「今何つった?今何つった?今何つった?今」
「ははは、顔やば」
妖怪みたいに飛龍にしがみついてガン詰めする明頼を、笑いながら呑気に撮る陽斗。
私はとりあえず、一番まともそうな雪斗の隣に腰を下ろし、ちょっとため息を吐く。
「ねえ……なんでこんなに人いるの?」
ちょっと咎めるようにそう聞いたら、雪斗は軽く肩をすくめた。
「俺は元々三人で見るつもりだったよ。けど、陽斗も完全に同じ考えだったってわけ」
ため息混じりに言う雪斗と、こちらにバチッとウインクしてくる陽斗。
……まあ、都内に実家がある参加者は珍しいから、必然的にこうなってしまうのも仕方ない。
一旦、そこまでは分かった。けど、番組のカメラがあるのはどうしてなの?
これが無ければ好き勝手振る舞ってこの場の全員に嫌われるチャンスだったのに。
そんな私の疑問を読み取ったみたいに口を開いたのは、兎内陽斗だった。
「なーんかエゴサしたところによると俺、二次で同じグループの天鷲翔と冨上栄輔に分量ぶん取られてほとんど映ってないらしーんだよね。ふざけんな、だったら自分でコンテンツ生み出すわ!ってことで、Youtubeカメラ呼んじゃいました⭐︎」
イェイ、とピースしてウインクを飛ばす陽斗。
分量なかったとはいえ、その発想になるか……?ただではへこたれないそのギャルマインド、尊敬するけど。
「もう番組カメラには愛想尽かして、Youtubeカメラに全振りすることにしちゃったわけ!これからは兎内陽斗のモーニングルーティーン、毎日メイク、コーデ紹介でコンテンツ無双してセンセーション巻き起こす予定だから!」
「がめつ。個人チャンネルでやれよ」
「黙らっしゃい」
明頼にツッコまれ、立ち上がる陽斗。また取っ組み合いが始まりそう……。
案の定、全力で逃げる明頼を全力で追いかけ始める陽斗。
その騒がしい光景にちょっと呆れ混じりのため息を吐きつつ。
……ふと、考えてしまう。
陽斗のやっていることって、案外正しいんじゃないか、って。
