と、そんなこんなで、雪斗の家に到着したわけだけど──

「……え」

リビングに広がった光景を目にした途端、私は石のように固まったまま、しばらく動けなくなった。

……と、いうのも。

「おっ!姫〜♡相変わらずかわええなぁ」
「いや客観的に見て僕の方が可愛いでしょ⭐︎」

──なんか、聞いてた話と違ったから。

まずおかしいことに、飛龍と陽斗がいる。あと、栄輔も……って、このメンツ、三次の棗さんのグループのメンバーか。

あの文面的に、雪斗と明頼と私の三人で見る感じじゃなかった?

雪斗の双子の陽斗はまだ分かるとして、なんでこんなに集合してるの……?

しかも、極め付けに、何故か部屋の中にカメラがいる。なぜ?休暇なのに、なぜカメラ……?

これでは来た意味が無い。カメラが無い場所に行きたくてここに来たのに。

私は、数秒間固まった後、ぎこちなく踵を返した。

「用事思い出した。帰る」

それだけ言って、ドアノブに手をかけたけれど。

「ここまで来といてそれはないやろ」
「……」

飛龍に腕を引っ張られ、無理やり部屋の中に引き摺り込まれそうになるのをなんとか堪える。

「やだ、帰るってば。他の人呼んでよ、京とか!」
「京も誘ったんだけど、なんか事情聴取?あるらしくて」
「事情聴取……」

背後から聞こえた雪斗の声に、私はちょっと息を呑む。

若原清架の件だろうか。多分虐待調査が始まって、証人として呼ばれてるんだろうな。

と、一瞬思考が逸れて手が緩んだ隙をつかれ、いとも簡単に飛龍に抱き寄せられた。

「はーい捕獲♡」
「あっ……ちょっ!」

背後からがっしり腕を回され、体格差のせいで抜け出せない。

「もうキャップもはずそか〜」

そう言って、目深に被っていた帽子を勝手に取り去られる。

するとその途端、ふわ、とあらわになる黒髪。

と同時に、部屋の空気が止まったようになった。

目を見開いてこちらを見る全員。

みんな釘付けになったみたいにこちらから目を逸らさず──最初に口を開いたのは、明頼だった。

「……く、くくくくく黒髪っ?!あびゃあああ」

まるで化け物でも見たかのように、ブルブルと指先を揺らして悲鳴をあげる明頼。

肯定か否定かもはや分かんないリアクション……。