ほとんど二ヶ月ぶりの再会。
初めて会った日は、大雪が降っていたけれど──今度は土砂降り。
榛名優羽って、実は結構雨男なんじゃないのかな。
そんなくだらないことを考えながら、エマの正面口からスーツケースを引いて出る。
エマの入り口付近には、きちんと屋根がついていて、その庇に寄せるように、いくつかの車が停まっていた。
この車たちも参加者の迎えだったりするのかな。
そんなことを考えながら、私は暗い中見渡してみて──奥の方に、見覚えのある黒塗りのメルセデス・ベンツを発見。
良い思い出のない車……。
少し拒否反応を起こしながらも、私は渋々歩み寄る。
すると、こちらに気がついたのか、ベンツがすーっと移動してきて、後部座席の扉が開いた。
……今日は助手席じゃないんだ。
ちょっと怪訝に思いながらも、私は乗り込もうとする。
と、その時。
「お姉ちゃんっ!」
「わっ……?!」
後部座席に入った途端、聞き慣れた声と共に、勢いよく抱きついてくる小さい身体。
……琴乃だった。
二つに結われたさらさらの髪、石鹸みたいな優しい匂い。
懐かしい妹との予期せぬ再会に、ほとんど反射的に、目頭の奥が熱くなる。
……審査中、彼女のことはずっと心配していた。
榛名優羽の家に一人だけ残されて、酷い扱いを受けていないだろうか。私の知らないところで、無理やりレッスンを受けさせられたりしていないだろうか、なんて。
……でも、今パッと見る限り、すごく元気そう。
少なくとも、男装した私をすぐに姉だと見抜けるくらいには落ち着いているらしい。
