さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


そう安堵したのも束の間、巫静琉は少しの余韻も持たせず、再びマイクを唇に寄せた。

「では、通過者順位の発表に移ります。ご覧ください」

その言葉と共に、画面が、パッと派手なエフェクトと共に切り替わっていく。

私は目を凝らして、その映像をじっと見つめた。

徐々にエフェクトが晴れ、明らかになった順位は──以下の通り。


11位 小山 明頼 / AKIYORI KOYAMA
10位 榛名 千歳 / CHITOSE HARUNA
9位 兎内 雪斗 / YUKITO UDAI
8位 灰掛 遼次 / RYOJI HAIKAKE
7位 新海 飛龍 / HIRYU SHINKAI
6位 皆戸 遥風 / HARUKA MINATO
5位 冨上 栄輔 / EISUKE TOGAMI
4位 椎木 篤彦 / ATSUHIKO SHIKI
3位 兎内 陽斗 / HARUTO UDAI
2位 峰間 京 / KEI MINEMA
1位 天鷲 翔 / SHO AMAWASHI


私の順位は──10位。

予想を遥かに下回る低い順位に、愕然とした。

……最下位、ギリギリじゃん。

これ、グループ全体の完成度次第では脱落してたんじゃないの……?

低い順位になっても大丈夫なように、心の準備はしていたはずなのに。

いざ現実を突きつけられると、まるで底の抜けた足場に立たされたような感覚だった。

何も言えず硬直する私を慰めるように、優しく背中をさすってくれる京。

「上手くやってたよ、お前」

その言葉がかえって痛くて、思わず下唇を噛む。

……『上手くやってた』。

私も、そのつもりだった。

けど、きっと、それだけじゃもうダメなんだ。

上手いだけじゃ、生き残れない。

実力があるのは大前提、その上で、どれだけの爪痕を残せるか。

この順位は、警告だ。

次、同じようなパフォーマンスを見せたら切り捨てる。

そんな静琉からのメッセージが濃く滲んでいるような気がして、私は膝の上でぎゅっと拳を握り込んだ。

──頑張らないと。

本来の目的を、きちんと思い出して。

死ぬ気でスキルを磨いて、なんとかしてデビュー組に滑り込まなければ。

私のせいで大切な人が犠牲になるなんて──

何があっても、絶対にあってはならないことだから。

改めて自分に強く言い聞かせると、私は小さく息を吐き、視線を再び前へと向けるのだった。