さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


スタジオに到着した後、私たちは各々指示された席につき、収録開始を待つことになった。

今回は、グループごとに固まって座らなければいけないらしい。

それはつまり、峰間京のダル絡みから依然として逃れられない、ということで。

「てかさ、さっき千歳寝言で俺の名前呼んでたよ」

スマホをいじりながらそんな爆弾発言をかましてくる京に、表情が引き攣る。

収録前だから精神は安定させておきたいのに……わざと動揺させるようなこと言ってくるの、本当にやめてほしい。

なんとか平静を保とうと顔を逸らすけれど、構わず身を寄せ、さらに話しかけてくる京。

「しかも二回くらい。一体どんな夢見てたんですかね〜?」

いや、覚えてないよ……!

確かに、ここ最近は京に関する問題のことばかり考えていたし、彼の夢を見てしまっていても不思議じゃないけれど。

決して、変な夢じゃなかったと思う。きっと、多分、おそらく……。

じわじわと不安になって俯く私を前に、京はニコニコと心底楽しそうに笑いながら──

「……ま、嘘だけど」

と、肩をすくめた。

……はぁ?

流石に思い切り顔をしかめる私に、心底面白そうに吹き出す京。

何がしたいの、本当にもう……。

「千歳ってさ、頭良さそうなのに結構すぐ引っかかるよね。そういうとこ可愛い」

ぐしゃっと慣れた仕草で頭を撫でられ、今日何度目か分からない『可愛い』をぶつけられる。

普通の人の嘘なら見分けられるんだけど、京って息するみたいに嘘を吐くからつい見逃しちゃうんだよね。

ほんっと、合わない……。

むず痒さに耐えかねて、なんとなく視線を逸らした──

その瞬間。

──京の、肩越し。

向こう側に腰掛けた白藤天馬チームの中──

椅子に浅く腰掛けた、皆戸遥風と。

真っ直ぐに、視線が交錯した。