さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


と、そんなことを思いかけて──いや、待てよ、と思う。

そういえば、この人──

「高級ゲーミングデスクが手に入るからって浮かれてます?」

「バレた?」

ニヤ、と悪戯っぽく笑う葵に、私は呆れ混じりのため息を吐く。

さっきの『よくやった』は、京の京のパフォーマンスに対する褒め言葉じゃなくて、京が自分に利益を与えたことに対する『よくやった』だったか……。

「後輩の晴れ舞台を際立たせてやるために、パフォーマンス中バレないようにちょっとずつ存在感消してた。『俺のおかげで』目立てて良かったね、峰間」

「そうやってわざと手抜いてやった感出すのダサくてかわいそー」

「ははは、次はぶっ潰す」

結局いつも通り毒舌合戦を初めてしまう二人。

朱那さんのの講評を聞いて、流石に葵が空気は誇張しすぎなんじゃ……って私も思ったけど、そういうことだったのか。
どれだけ自分のゲームが大事なんだよ……。

と、ちょっと呆れながらも二人のやり取りを眺めていると。

今度は別方向から、何やらパシャパシャとシャッターを切る音が聞こえてきた。

……え、何、誰か自撮りしてる?

訝しく思って、その音の方に視線をやると。

……明頼が、真顔でこちらにスマホを向けて連写してきていた。

え?何?こっわ……。

「あの、なんですか」

顔を引き攣らせつつ聞くと、明頼の代わりに、隣にいた雪斗がちょっと肩をすくめてみせた。

「今日で落ちるかもしれないからって、撮り納めらしい」

その言葉に、私はハッとする。

……そういえば、明頼って、前回の審査で最下位通過だったっけ。

だとしたら、確かに、今回の審査では危ないラインなのかも。

今まであまり身近な参加者が脱落してこなかったから、どこか麻痺していたけれど──いつの間にか脱落の文字は、こんなにも近くまで迫っている。

その事実を前に、私は思わずこくりと小さく喉を鳴らした。