さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


結局、俺は清架の代わりに罪を被った。

所持していたのは俺だと証言して、少年院に送られることになった。

『ありがとう。待ってるからね』

朝、ベッドの中そう言って微笑んだ彼女の顔だけが、ずっと心の奥に焼き付いて。

その一言だけに縋って、俺は、たった一人で一年を耐えた。

やがて、ようやく迎えた出所は、中学三年の初冬。

解放された俺が見たのは──

売りに出された、もぬけの殻の家だった。

『あー、隣の家?だいぶ前……それこそ、一年くらい前に転居されたはずですけど』

近所を回って聞けば、揃って同じような答えが返ってきた。

『ははっ……』

……馬鹿らしすぎて、思わず乾いた笑みが溢れた。

清架は最初から、俺のことなんて一ミリも愛していなかったのだ。

そんなこと、とっくの昔に勘づいていたはずなのに。

ありもしない希望に縋って、見慣れていたはずの演技に簡単に絆されて。

何をやってたんだろうな、俺。

肺に穴が空いたように、息が苦しくて、頭の中がぐちゃぐちゃになって。

それと同時に──心の奥底に、初めて、彼女に対する復讐心が灯った。

──今度は俺が、あんたの人生を壊す番だ。

絶対に、このまま逃がすつもりはない。

とはいえ、どうしたらあいつに近づけるのか。どうしたら、あいつを本当の意味で地獄に落とせるのか。

そこで、彼女に近づく糸口として見つけたのが──この『EMERGENCE PROJECT』。

彼女が所属している事務所主催のこのオーディションに潜り込んで、清架に接触するために。

中学を卒業してから、女の家を転々としながら、ダンスと歌の練習をして過ごして。

そして、ようやく──彼女と再会するチャンスが、目の前に迫っている。

このチャンスは、絶対にものにしなければならない。

たとえ、そのために──

「やっほー、小夜」
「京くん!」

どれだけ周囲の心を利用して、ズタズタに引き裂くことになろうとも。