翌日から、京は練習に来なくなった。

本番直前の追い込みで、一番大事な時期。

にも関わらず、スタジオにも姿を表さず、自室にも帰らず、どこかをほっつき歩いてるみたいで。

そのせいで、ダンスのポジションや動線の確認も、全体のクオリティを確かめることもできず、全てのグループの中で私たちが一番遅れをとっているみたいだった。

……気づけば、もう本番一週間前。そろそろ来てくれないと流石にやばい。

『明日からは来てほしい』

京とのトークルームにそう打ち込んで、少し考えてから、消す。

『最近、何してるの?』

ちょっと考えて、また消す。

……ああもう、どうしたらいいんだろう。

彼が来なくなった原因が、おそらく──いや、完全に自分にあるということは、私自身が一番よく分かっていた。

責任を持って私が連れ戻すべきなのか。

それとも、私はもう彼とは一切関わらず、別の人に頼んだ方がいいのか。

そんな問いがぐるぐると頭の中を巡って、思わず重たいため息がこぼれた。

「はぁ……」

葵の家のリビングの机に突っ伏して、考える。

間違っていたんだろうか。

あのまま黙って付き合っておくのが最善だったのかな。

そうしたら、京は、少しは救われたのかもしれない。

そんなことをずーっと一人で考えているうちに、身体に蓄積された疲労感が押し寄せて、瞼が徐々に重くなっていって。

──気づけば私の意識は、まどろみの中へ沈んでいってしまっていた。