この3日間、私はただひたすら練習に没頭した。
さすがは、日本最高峰の芸能事務所が主催するオーディション。
設備の尋常ぶりが並じゃない。
なんと、70人の参加者全員に、個別の練習スタジオが用意されていた。
しかも、24時間いつでも使用可能。
まさに前代未聞の高待遇。
前回のエマプロで、よほど莫大な利益を上げたのだろうな。
カメラが回る時間も、1日の練習につき数十分ほど。
一次審査では、あまり練習過程を使わないのだろうか。
何にせよ、ありがたいことだ。おかげで私は、喉が枯れようが、声が地声に戻ろうが、何の気兼ねもなく練習を続けることができた。
そして、肝心の男装生活はというと……
案外、バレない。
シャワーは別々に入ればいいし、着替えもトイレで済ませれば問題無し。
さらに、たとえウィッグや特殊インナーを外した状態で眠っていたとしても、二段ベッドなので、相手の視界に入ることはほぼない。
何より──
京が、私に興味を持たなさすぎる。
部屋に戻れば、彼はスマホの向こう側の女の子に夢中。
初日こそ親しげに話しかけてきた彼だったが、私がキツく毒を吐いてからは、本当に興味を失ったみたいで。
彼にとって私は、もはや空気も同然の存在だった。
しかも、京は掃除も洗濯も面倒くさがるから、結局全部私がやる羽目になり、その結果、洗濯物を見られるリスクすらゼロになった。
これ、思ったより全然イージーかも。
そんなふうにして過ごしているうちに、あっという間に3日間の練習期間が終わった。
そして──気づけば、今日が本番の日。
私は目覚ましが鳴るよりも早く、朝4時に起床した。
早朝から、割り当てられた個別スタジオへ向かい、一人黙々と最終調整を重ねる。
この3日間で、だいぶ固まってきたんじゃないかな。
女声と男声の中間みたいな、少し中性的な歌声。
それが、以外にもこの曲にハマると気がついてから、少し気楽に練習できるようになった。完全な男声で歌うより、幾分楽だから。
──だからと言って、絶対にミスは許されない。
本番でボロを出したら、即終了なのだから。
まぁ、昔から本番には強いタイプだし、きっと大丈夫だと思うけれど。
私はそう自分に言い聞かせながら、収録するスタジオの席に腰を下ろした。
さすがは、日本最高峰の芸能事務所が主催するオーディション。
設備の尋常ぶりが並じゃない。
なんと、70人の参加者全員に、個別の練習スタジオが用意されていた。
しかも、24時間いつでも使用可能。
まさに前代未聞の高待遇。
前回のエマプロで、よほど莫大な利益を上げたのだろうな。
カメラが回る時間も、1日の練習につき数十分ほど。
一次審査では、あまり練習過程を使わないのだろうか。
何にせよ、ありがたいことだ。おかげで私は、喉が枯れようが、声が地声に戻ろうが、何の気兼ねもなく練習を続けることができた。
そして、肝心の男装生活はというと……
案外、バレない。
シャワーは別々に入ればいいし、着替えもトイレで済ませれば問題無し。
さらに、たとえウィッグや特殊インナーを外した状態で眠っていたとしても、二段ベッドなので、相手の視界に入ることはほぼない。
何より──
京が、私に興味を持たなさすぎる。
部屋に戻れば、彼はスマホの向こう側の女の子に夢中。
初日こそ親しげに話しかけてきた彼だったが、私がキツく毒を吐いてからは、本当に興味を失ったみたいで。
彼にとって私は、もはや空気も同然の存在だった。
しかも、京は掃除も洗濯も面倒くさがるから、結局全部私がやる羽目になり、その結果、洗濯物を見られるリスクすらゼロになった。
これ、思ったより全然イージーかも。
そんなふうにして過ごしているうちに、あっという間に3日間の練習期間が終わった。
そして──気づけば、今日が本番の日。
私は目覚ましが鳴るよりも早く、朝4時に起床した。
早朝から、割り当てられた個別スタジオへ向かい、一人黙々と最終調整を重ねる。
この3日間で、だいぶ固まってきたんじゃないかな。
女声と男声の中間みたいな、少し中性的な歌声。
それが、以外にもこの曲にハマると気がついてから、少し気楽に練習できるようになった。完全な男声で歌うより、幾分楽だから。
──だからと言って、絶対にミスは許されない。
本番でボロを出したら、即終了なのだから。
まぁ、昔から本番には強いタイプだし、きっと大丈夫だと思うけれど。
私はそう自分に言い聞かせながら、収録するスタジオの席に腰を下ろした。