さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


ちょっと呆れながらその光景を眺めつつ、ふと思う。

……この人たちって、似た者同士だからこそぶつかっている、所謂同族嫌悪みたいなとこがある。

女に優しいふりして雑なところとか、表現力特化型だとか、絶対エースにはあと一歩届かないとことか。

「……似てる」

思わずぽつりと口に出してしまった声に、ハッとした。

慌てて口元を押さえるけど遅くて、ふたり同時に言い争いをやめて、こちらに視線を向けた。

「……俺らが?」

「え?あ、まぁ……」

私がそう言った瞬間、目の前の二人は顔を見合わせ、しばらく黙り込んだ。

数秒間の沈黙の後、ニコ、と困ったように笑う京。

「誹謗中傷きついなー千歳ちゃん」

「殴っていい?」

「パワハラで報告しちゃいますよ」

「カンナさんが信じるわけないでしょ。今俺、繊細可憐な天才少年キャラで可愛がられてんのに」

「何匹猫被ってんすか??」

二人の口論に盛大に油を注いでしまい、猛烈に後悔する。

止めることもできず、ただ一人で焦る私に、葵がふと視線を向けた。

怖がらせてる、と思ったのだろうか。

「……ごめん、うるさくて」

ふっと脱力するように呟いて、葵はリビングのソファに背を預けた。

「今日泊まってってよ、千歳」
「え、」

急な提案に言葉が詰まる。
泊まる……って、多分ベッドひとつしかないよね?