さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


結局その後、画面越しの押し問答の後。

「っしゃ、お邪魔しまーす」

結局峰間京は、葵の家に上がり込んできた。

まるで自分の家かのようにズカズカと入ってくると、遠慮なくリビングを見回す。

「なるほど、女連れ込むための家って感じすね。さっすが〜」

「クソ邪魔」

「邪魔しますって言いましたけど?ってか、今度ここホテル代わりに使っていいすか」

「帰れよガチで」

葵の言葉をガン無視して、どさっと私の横に腰を下ろす京。私はというと、いまだに状況を処理できず固まっていた。

「京、なんで当然のように来てんの……」

「いや、毎晩抜け出してたって言ったじゃん。脱獄に関してはプロだから」

「違う、なんでこの家知ってるの、って」

「ジャケットの右ポケット」

軽く告げられたその言葉に、私は恐る恐るポケットに手を入れる。

すると。

「うっわぁ……」

ドン引きだった。

私の手のひらに転がったのは、小さなマグネットのような紛失防止タグ。

多分、来る前にバックハグされた時にでも仕込まれたんだろう。

もろにストーキングの常套手段で最悪……。

京のこういう手段を問わないところ、真っ当に育ってきたんじゃないんだろうって窺えて、めちゃくちゃ怖さがある。

「ってか、あんたも千歳が女だって知ってたんだ」

「流石に、ルームメイトなんでね」

軽く肩をすくめると、当然のように私の肩に手を回してくる京。

さら、と私の髪に指を通し、どこか挑発的に葵を見やる。

「……で、葵くん、どこまでやったんすか?」

その言葉に、空気がピキッと凍った。

「……」

葵は黙って、京に冷たい視線を向ける。その表情管理は流石で、何も読み取れない。

けれど、京も負けていなかった。

「未成年襲うほど飢えてるんすね可哀想に。女の子紹介しましょーか?」

「間に合ってる。俺を誰だと思ってんの」

「白藤天馬に勝てずに万年二番手のロリコン野郎」

「天鷲翔に勝てない二番手が何か言ってんね。あれ皆戸遥風にも抜かされたんだっけ?」

目の前で交わされる皮肉の応酬。

普通の会話がキャッチボールだとするなら、二人は、殺意のこもった豪速球を全力でぶつけ合ってるみたい。