「反応?」
京の言葉に、ちょっと首を傾げる。
配信中のチャットなら、リアルタイムで見たけど……外国のコメントも多くて、あんまりしっかり読めてない。
でも、後からきちんと確認するつもりではいた。
何故なら、昨日の放送では、思った以上に私がクローズアップされていたから。
誰もがハズレ曲だと思っていた『Sugar⭐︎Dream』を、完璧にやり切って上位に入ったというストーリー性に番組制作陣が目をつけたのだろう。
『ハズレ曲を武器にし、まさかの上位通過──!』などの、盛大な煽りテロップ。
そこまで使われないだろうと思って適当にやっていたインタビュー映像も結構まるっと使われていて、もう少しちゃんと答えておけばよかったとちょっと後悔中。
「まだちゃんとは確認できてないけど、ライブチャットくらいなら」
私の答えに、京はちょっと肩をすくめた。
「早く見た方がいい。お前、めっちゃバズってるから」
そう言って、手にしたスマホの画面をこちらに差し出す京。
画面には、YouTubeでの『榛名千歳』の検索結果。私の名前と共に、切り抜き動画が並んでいる。
『【EMERGENCE PROJECT SEASON3/エマプロ】衝撃的な可愛さの参加者?!榛名千歳』
『【榛名千歳】エマプロ3期参加者のスイモニがエグすぎるwww』
『【エマプロ】千歳くんのダンスのどこが凄い?プロダンサー目線でガチ解説!』
スクロールすれば、そんなタイトルが次々に表示される。私は一瞬、目を瞬かせた。
エマプロの広報戦略として、一般視聴者による切り抜きを奨励しているのは知っている。
だから、こうした動画が拡散されるのは自然な流れだった。
けど、それにしても流石に……
「多くない?」
どこまでスクロールしても、新しい動画が次々と現れ、私の顔がサムネイルに並んでいる。
編集での推され具合から、ある程度の反響は予想していた。
けど、まさかここまでとは。
やっぱり、色物だから?
ネット受けがいいだろうとはうっすら思っていたけど、予想以上の拡散具合に少し胸がざわつく。
私はすぐに自分のスマホを取り出し、Xを確認する。
すると、エゴサするまでもなく、目に飛び込んできたのは。
『日本のトレンド 1.#エマプロ 2.#Sugar☆Dream』
Sugar☆Dream……。
これは、『男の娘』文化が浸透している日本だからこそのウケの良さだろうか。
こうなったら、番組側は今後も積極的に私を推すようになると思う。いわゆる、客寄せパンダポジションだ。
露出が増え、順位にも有利に働く。それはいいこと。
けれど、私の心の中にひとつ懸念が湧き上がっていた。
それは──有名になればなるほど、アンチも増えるってこと。
