時刻は深夜1時。
配信も後半に突入し、一次審査は終盤に差し掛かっていた。
これまでの率直な感想を述べるとするならば。
──普通に面白いじゃん。
他のオーディション番組とは比べ物にならない実力者たち、見やすい編集のおかげで、飽き性の私でも眠くならず、どんどんのめり込むことができていた。
今のところ、私の中でいいなと思ったのは新海飛龍くんと兎内陽斗くん。
陽斗くんは、めちゃくちゃ可愛い顔した弟系キャラかと思いきや涼しい顔でとんでもない完成度のパフォーマンスをしてきてビビった。
日茉里によると、彼もアイドル経験者らしい。通りでステージ慣れしてると思った。
飛龍くんは、ステージ上ではバチイケだったのにインタビュー映像なんかを見たらめちゃくちゃ天真爛漫な男の子でギャップにやられた。関西弁もめちゃくちゃ刺さる!
そして、今はどういう場面かというと……天鷲翔のパフォーマンスが終わったところだ。
隣では、日茉里が号泣している。
天鷲翔のパフォーマンスに感動して……ではない。
翔のひとつ前に披露した皆戸遥風のパフォーマンスの感動をまだ引きずっているのだ。
「遥風がまた歌ってくれた……ステージに立ってる遥風がまた見れるんだよ、やばい、幸せすぎて毎日死にそう」
「ちょっと静かにして、今私天鷲くんに集中してる」
「うぅ……ごめん」
それでもまだなお泣きじゃくる日茉里に、私は無言でティッシュを手渡していた。
皆戸遥風は、『TRICK』にいた頃よりさらに垢抜けてかっこよくなっていた。
黒髪黒目の正統派王子様タイプで、欠点ひとつ見当たらない最高に恵まれた顔立ち。
ダンスも歌も安定していて、普通に上手い。
けれど、その後にステージに立った天鷲翔のインパクトで、印象がすべて塗り替えられてしまった。
皆戸遥風か天鷲翔かでいうと、私は断然天鷲くんの方が印象的だと思うんだけど…… 日茉里は天鷲くんのパフォーマンスは眼中に入ってないみたい。
『推し』の力ってすごいな、と呆れつつ、やっぱりちょっと羨ましくなってしまう。
確かに番組自体は面白いけど、私にはそこまで入れ込める子はいなさそうだ。
やっぱり、向いてないんだろうな。
と、ちょっとため息をついて、私は再び画面に視線を落とす。
すると画面が切り替わり、深刻そうな表情で考え込む一人の参加者が映し出されたところだった。
……え。
その顔を見た途端、軽く息が止まった。
びっくりした、女の子かと思った。
