「カンナさんはいいからさぁ、早く遥風を画面に映してよ!華がない!」
そんな私とは対照的に、不服そうな日茉里。
『SiESTA』や『JACKPOT』のファンたちは、代表取締役の巫静琉を、親しみを込めて『カンナさん』と呼んでいると日茉里に聞いたことがあった。
けど、こんなカリスマオーラバチバチの天下の巫静琉をあだ名呼びって、やっぱりちょっと違和感。
私がそういうファン文化についていけていないだけなのかもしれないけど。
巫静琉のインタビューの後、さらに画面が切り替わり、前回までのハイライトへ。
前回の審査で披露されたであろうステージが、一秒ずつほどの短い間隔で繋げられていく。
……そんな一瞬の切り抜きの中に、ふと、一人だけ異質なオーラを放つ参加者を見つけた。
「……今めっちゃイケメンいなかった?」
何気なくこぼすと、日茉里がずいっと身を寄せてきた。
「猫目でクズっぽい?」
「多分?色気ダダ漏れって感じの」
「それ峰間京だよ!一次審査トップバッターで衝撃パフォーマンスした!多分今一番人気だと思う」
「へぇ」
興奮したように捲し立てる日茉里に、軽く頷く。
彼が、バ先の店長の推しか。確かに、推したくなる気持ちも分かる……だって、今の一瞬だけでもあり得ないくらい目を引いた。
前回の参加者たちのパフォーマンスのダイジェストが終わると、画面に『一次審査後半戦、開始』のテロップ。
「はっ、始まる……!!」
隣で武者震いをする日茉里を横に、私は黙って膝を抱えて画面を見つめていた。
