そして、深夜0時。
私は、高校の頃は毎日のように入り浸っていた日茉里の部屋にいた。
壁には推しのポスター、棚にはグッズやDVDがぎっしり。
そして、中心の机に座るのは……。
「は?なんで繋がんないの?!Wi-Fi仕事しろよ!!だるいだるいだるい」
回線にぶち切れる日茉里だった。
エマプロは、今までも国民的なアーティストを輩出してきた超有名なオーディション番組。
だから、アクセスが集中してサーバーに負担がかかっているんだろう。
確かに、私の周りでも色んな人が見てる。バ先の店長も確か見てたっけ……。
『京くん推し』みたいなこと言ってた気がする。その人も今日出るのかな?
なんて、上の空で考えていたところ。
「はっ、繋がった!唯世、繋がったよ!やばいやばい!」
暗い画面に、光の粒子と共に映し出されたタイトルロゴ。
『EMERGENCE PROJECT Season3 EP.2』
思い切り絶叫したいけれど、近所迷惑になるからと堪えているような日茉里。
その表情は、まるで命懸けで誰かを見守っているようだった。
私は、そんな日茉里の横顔を一瞥してから、自分も画面に目を落とす。
まず映し出されたのは、EMERGENCE PROJECTの軌跡を辿る映像。
1期、2期の名シーンが走馬灯のようにつなぎ合わされ、エフェクトで鮮烈に彩られる演出。
『SiESTA』や『JACKPOT』のデビューの瞬間や、その後の活躍なども感動的に映し出される。
そして、その後に挿入されるのは巫静琉のインタビューシーン。
カツカツと革靴を鳴らし歩く静琉の足元、横顔、そして正面からのカットが続く。
『新たな伝説を生み出すため、再び動き出したこの男──』
そんな煽りテロップの直後、事務所のデスクに座った静琉が口を開く。
『3期をやります』
『例によって、メンバーの数は未定です』
『規格外の才能たちが集まりました。SiESTAやJACKPOTを超えることのできる──僕の最高傑作が生まれる予感がしますね』
そう言って、面白そうに唇の端を上げる巫静琉。
そのバックでは、カリスマ感溢れる壮大なロック調のBGMが流れている。
画面越しでもビシバシと伝わってくるその威厳に、私は思わず息を呑んで画面を見つめていた。
1期も2期も、まともに見たことなかったから知らなかったけど……編集とかめちゃくちゃ凝ってて、ワクワクする。あと巫静琉、普通にカッコいいじゃん。
