宮代唯世、20歳。
趣味無し、彼氏無し、友達の数も普通。
大学と家を往復する日々を送る平凡な女子大生。
……大学2年生は大学にも慣れ、就活にも追われない一番自由な時間だっていうよね。
私は、その時間を全く有効活用できていないような気がする。
せめて自分の時間に価値を持たせたくて、飲食店のアルバイトは続けているけれど。
溜まったお金も、何に使えばいいのか全くわからない。
こんな自分が嫌いなわけじゃないけど、何かに打ち込めている友人を見るとやっぱり羨ましいなって思う。
例えば、彼女とか。
「見て見て見て、これ私が書いてた遥風のファンブログ。続々と閲覧数増えてる。やっぱこれエマプロ効果だよね?」
私の前にパソコンを広げ、キラキラと目を輝かせて語るのは私の幼馴染、谷日茉里。
高校生の頃にアイドルグループ『TRICK』にどハマりし、グループのセンターを張る皆戸遥風にいわゆる『ガチ恋』し始めた。
高校受験期に遥風のグループ脱退が発表された時にはガチ病みして勉強が手につかなくなり、頭がいいくせに私なんかと同じ無名大学に入った彼女。
皆戸遥風が芸能界から姿を消していた間は、もうずっと魂の抜けたような状態だったのだけれど──最近になって、また生気を取り戻してきた。
というのも、有名オーディション番組『EMERGENCE PROJECT』の第3期に、皆戸遥風が出演しているらしいのだ。
「それ、なんだっけ。遥風脱退の時の日茉里のガチ病み懐古記事?」
「そうそう!今更めちゃくちゃインプレッションもらってウケるんだけど。また書き始めちゃおっかな、エマプロブログとして」
興奮したような声音でそう話す日茉里を、少し冷めた目で見つめる。
いいなぁ、楽しそう。
でも、自分は彼女みたいに夢中になれないだろうな。
アイドルって、すごくキラキラしてて……なんか、見てると痒くなるっていうか。
高校生の時に、日茉里から『TRICK』の布教をめちゃくちゃされたけど、結局誰にもハマれなかった。
多分、向いてないんだろうな、そういうの。
と、そんなことを考えていると。
「……ね、唯世。一緒に追わない?エマプロ」
日茉里が、ちょうど私の思考の真反対のような提案をしてきた。
趣味無し、彼氏無し、友達の数も普通。
大学と家を往復する日々を送る平凡な女子大生。
……大学2年生は大学にも慣れ、就活にも追われない一番自由な時間だっていうよね。
私は、その時間を全く有効活用できていないような気がする。
せめて自分の時間に価値を持たせたくて、飲食店のアルバイトは続けているけれど。
溜まったお金も、何に使えばいいのか全くわからない。
こんな自分が嫌いなわけじゃないけど、何かに打ち込めている友人を見るとやっぱり羨ましいなって思う。
例えば、彼女とか。
「見て見て見て、これ私が書いてた遥風のファンブログ。続々と閲覧数増えてる。やっぱこれエマプロ効果だよね?」
私の前にパソコンを広げ、キラキラと目を輝かせて語るのは私の幼馴染、谷日茉里。
高校生の頃にアイドルグループ『TRICK』にどハマりし、グループのセンターを張る皆戸遥風にいわゆる『ガチ恋』し始めた。
高校受験期に遥風のグループ脱退が発表された時にはガチ病みして勉強が手につかなくなり、頭がいいくせに私なんかと同じ無名大学に入った彼女。
皆戸遥風が芸能界から姿を消していた間は、もうずっと魂の抜けたような状態だったのだけれど──最近になって、また生気を取り戻してきた。
というのも、有名オーディション番組『EMERGENCE PROJECT』の第3期に、皆戸遥風が出演しているらしいのだ。
「それ、なんだっけ。遥風脱退の時の日茉里のガチ病み懐古記事?」
「そうそう!今更めちゃくちゃインプレッションもらってウケるんだけど。また書き始めちゃおっかな、エマプロブログとして」
興奮したような声音でそう話す日茉里を、少し冷めた目で見つめる。
いいなぁ、楽しそう。
でも、自分は彼女みたいに夢中になれないだろうな。
アイドルって、すごくキラキラしてて……なんか、見てると痒くなるっていうか。
高校生の時に、日茉里から『TRICK』の布教をめちゃくちゃされたけど、結局誰にもハマれなかった。
多分、向いてないんだろうな、そういうの。
と、そんなことを考えていると。
「……ね、唯世。一緒に追わない?エマプロ」
日茉里が、ちょうど私の思考の真反対のような提案をしてきた。
