「……さて、どうします?」

休憩時間。葵グループのメンバー4人は、ラウンジの丸テーブルに向かい合って、考え込んでいた。

最年長メンバーから大目玉を食らっても、まったく響いていない様子だった葵。

正直、もう何をやってもダメなんじゃないかとは思うけれど、だからと言ってここで投げ出すわけにはいかない。

というわけで、京の提案で鷹城葵対策本部が立ち上がったわけなんだけど……。

「もうアイツ埋めねぇ?行方不明ってことで代わりの人呼んでもらおうぜ」
「んー、埋めたら異臭でバレるから、川に沈めるとかのがいいと思うけど」

物騒なアイデアしか出てこない。真面目に考える気あるんだろうか、この人たち。

と、そんなふうに生産性の無い話し合いを続けていたところ。

──カツ、カツ。

不意に廊下に響く、革靴のような硬い足音。

鷹城葵だったら困るので、私たちは一旦話し合いをやめ、ちょっと廊下に身を乗り出してその音の主を確認する。

すると、廊下の向こうにいたのは若宮棗と白藤天馬だった。

時折腕時計を気にしつつ、談笑しながらこちらに向かって歩いてくる。

と、そこで棗が私たちの存在に気付いたらしい。

すぐさま人の良い笑みを浮かべ、ひらひらと手を振りながらこちらへやってきた。

白藤天馬も、少し怪訝そうな顔をしつつ彼に着いてくる。

花びらやキラキラしたエフェクトを纏って登場した2人のオーラに圧倒され、自然と少しのけぞってしまう。

「やっほー、その後どう?」

親しげに話しかけてくる棗に、私たちは少し気まずげに顔を見合わせる。

その反応を見て察したのか、「だよね〜……」とこめかみを押さえため息を吐く棗。

「ごめんね、力になれなくて。あの子、ちょっと拗らせてんのよ」

私たちの側の壁に身体をもたせかけ、話を続ける。

「昔から神童だ神童だってもてはやされて、ずーっと『芸能人』の仮面をかぶって生きてきたんだよね。そうやってカメラの前で自分を押し隠してきた反動で素があんな感じになっちゃって」

そう言って、再度大きくため息を吐く棗。