その距離の近さに、ドキドキと心臓の高鳴りがおさまらない。
このままじゃ、男同士のスキンシップで照れてる気持ち悪いやつになっちゃう。ゲイ疑惑とか出たら視聴者人気下がる……!
と、流石に焦っていたその時。
ぐいっ。
「はい、お時間でーす」
私たちを引き剥がしたのは、峰間京だった。
私と飛龍のスキンシップが気に食わないから、というよりも、私の焦りを感じ取って助けてくれたような余裕感。
「なんやお前、また新しいセコム雇ったんか」
ちょっとつまらなそうに口を尖らせる飛龍。
「なんせうちのグループには爆弾がいるんでね、そこんとこご配慮いただきたく〜」
そう言って、京はふっと視線を自分の背後に向ける。
そこには、京に襟元を引っ掴まれて動きを封じられた明頼がいた。
手を離せば今にも飛龍に殴りかかりそうな狂犬モード。
京が明頼を押さえるという見慣れない構図に少し違和感を覚え、私はスタジオの後方へ視線を移す。
するとそこには、疲れ果てて死んだように床に転がる雪斗の姿があった。
電池切れか……。そりゃそうだよね、毎分毎秒こんな調子じゃ、精神がもたない。
ちょっと気の毒に思って同情していると、倒れ込む雪斗に歩み寄る人影がひとつ。
兎内陽斗だった。
「ゆーきくんっ⭐︎大丈夫?」
雪斗のそばにしゃがみ込んで、こてんと首を傾げる陽斗。
「雪くーん?」
「……ちょっと休ませろ」
低く掠れた雪斗の声。その言葉を聞いた瞬間、陽斗の表情がぴくりと引き攣った。
「……休んでる暇なんてあんの?」
いつものキャピキャピした声とは打って変わった、低く冷たい声音。
スタジオ中の視線が、一気にそちらに集中する。
「……俺がどんだけ疲れてるかわかんねぇよな。陽斗は真面目な若宮先輩のグループで、メンバーも揉めねぇもんな」
ぼそっ、と吐き捨てるような声音でこぼす雪斗。
すると、次の瞬間。
ぐいっ、と雪斗の胸ぐらが掴み上げられた。
