「……だ、大丈夫っすか?千歳くんのグループ」
少し遠慮がちに話しかけてくる栄輔。カメラの前だから邪険にできないな、と思って、私はニコッと笑顔を作る。
「どう見える?」
「しんどそうっす」
「うん、割とな」
苦笑して肩をすくめると、栄輔の顔が微かに歪んだ。
切ない感情を押し隠すかのようなその表情に、胸がちくりと痛む。
きっと彼は、私のこの態度がカメラの前だけのものだと知っている。
それでも話しかけてくれるなんて、本当になんていうか、健気ないい子っていうか……。
そうなると、遥風が彼をあそこまで忌み嫌う理由って、本当になんなんだろう。
そんなふうに、密かに思考を巡らせていると。
「ひーめ♡」
──ギュッ。
背後から急に抱きつかれて、思わずビクッと肩が跳ねた。
「会いたかったやろ、俺にっ」
振り向くと、ニッとイタズラっぽい笑顔で見下ろしてくる飛龍。
……このダル絡み、ハキハキとした関西弁、相変わらずで少し懐かしい。
けど、流石にスキンシップがすぎる。
「いや、ちょ……」
「いやとか言わんといてや〜!ほんまは会いたかってんやろ〜?」
まるで子どもがお気に入りのぬいぐるみにするように、ギューッと抱きしめて離してくれない。
