ええ、ばり気まずいんですけど……。
終わるのを待とうかとも思ったけど、それで盗み聞きしていたと思われるのも面倒。
そう考えた私は、何も知らないような涼しい表情を作って、そのまま二人に声をかけることにした。
「あの、通りたいんですけど」
「!」
黒髪の男の子が、私の方を振り向く。
『端正』という言葉がこれ以上ないほど似合うような品格を感じる、際立って綺麗な顔立ち。
長い睫毛が影を落とす、宝石のような、冷たい光を宿す瞳。
それが私の姿を捉えた瞬間、明らかに、動揺の色が浮かんだ。
「あ……」
それがどうも、純粋に私の容姿に驚いたのではなさそうな、信じられないものを見るような目だった。
思わず訝しげな表情が浮かぶ。
「……なんでもない」
黒髪の男の子がパッと手を離し、逃げるようにその場を去っていく。
茶髪の男の子が、乱れた髪を整えながら、私を見る。
気まずい沈黙。
私は、茶髪に黙礼すると、さっさとスタジオの中に足を運ぼうとした。
しかし、茶髪の少年は慌てて私を追いかけてくる。
「……何?」
「あのっ、助けてくれたっすよね。マジありがとうございます」
そうやって照れたように笑う彼は、さっきの黒髪の少年のような目を引く華やかさは無い。
けれど、その微笑みの柔らかさ、天性の人懐こさがどこか心をくすぐる。
成長を応援したいタイプの視聴者に人気が出そう。
少しでも有望株っぽい参加者とは距離を置きたいところなんだけど……。
スタジオに入ってしまえば、カメラの前。周囲にはスタッフも沢山いる。
あんまり雑にあしらうわけにもいかない。
「通りかかっただけだから、気にしないで。大丈夫だった?」
ふわ、と精一杯の甘い微笑みを作ると、彼の表情が一瞬硬直した。
もともと大きな目をさらに見開いて、口元がわずかに動く。
次の瞬間、ぶわっと顔に集まる熱。
しまった、やりすぎたか。
彼の反応があまりに分かりやすくて、私は内心舌打ちをした。
「え、や……やば、なんか、めっちゃ可愛いっすね、あ、いや、違う、なんていうか、もちろんカッコいいですし……」
頭を掻きながら焦る彼。取り繕う余裕もないほど動揺してるみたい。
私は静かに息を吐いた。
とりあえず、一旦話を変えよう。
「てか、名前なんていうの?」
「あっ、えと、冨上栄輔っていいます……そっちは?」
「榛名千歳」
「えぇっ、名前まで女子っぽいんすね」
その言葉に、少しギクリとした。
名前まで、ってことは、外見も女子っぽいって思われてるってこと。
私は内心顔をしかめながら、平静を崩さずにちょっと笑う。
「女子っぽいって……もしかして喧嘩売ってる?」
「いっ、いやいやいや!」
「買おうか?」
「ちがっ、違くて!すんませんマジで!」
冗談を言った途端、本気で頭を下げてくる栄輔。その素直さがおかしくて、思わず素で笑ってしまう。
この自然体な感じ、きっと視聴者に人気出るだろうな。
今後、こんなにも純粋な彼にも冷たい対応を取ることになると思うと、少し胸の奥が痛んだ。
終わるのを待とうかとも思ったけど、それで盗み聞きしていたと思われるのも面倒。
そう考えた私は、何も知らないような涼しい表情を作って、そのまま二人に声をかけることにした。
「あの、通りたいんですけど」
「!」
黒髪の男の子が、私の方を振り向く。
『端正』という言葉がこれ以上ないほど似合うような品格を感じる、際立って綺麗な顔立ち。
長い睫毛が影を落とす、宝石のような、冷たい光を宿す瞳。
それが私の姿を捉えた瞬間、明らかに、動揺の色が浮かんだ。
「あ……」
それがどうも、純粋に私の容姿に驚いたのではなさそうな、信じられないものを見るような目だった。
思わず訝しげな表情が浮かぶ。
「……なんでもない」
黒髪の男の子がパッと手を離し、逃げるようにその場を去っていく。
茶髪の男の子が、乱れた髪を整えながら、私を見る。
気まずい沈黙。
私は、茶髪に黙礼すると、さっさとスタジオの中に足を運ぼうとした。
しかし、茶髪の少年は慌てて私を追いかけてくる。
「……何?」
「あのっ、助けてくれたっすよね。マジありがとうございます」
そうやって照れたように笑う彼は、さっきの黒髪の少年のような目を引く華やかさは無い。
けれど、その微笑みの柔らかさ、天性の人懐こさがどこか心をくすぐる。
成長を応援したいタイプの視聴者に人気が出そう。
少しでも有望株っぽい参加者とは距離を置きたいところなんだけど……。
スタジオに入ってしまえば、カメラの前。周囲にはスタッフも沢山いる。
あんまり雑にあしらうわけにもいかない。
「通りかかっただけだから、気にしないで。大丈夫だった?」
ふわ、と精一杯の甘い微笑みを作ると、彼の表情が一瞬硬直した。
もともと大きな目をさらに見開いて、口元がわずかに動く。
次の瞬間、ぶわっと顔に集まる熱。
しまった、やりすぎたか。
彼の反応があまりに分かりやすくて、私は内心舌打ちをした。
「え、や……やば、なんか、めっちゃ可愛いっすね、あ、いや、違う、なんていうか、もちろんカッコいいですし……」
頭を掻きながら焦る彼。取り繕う余裕もないほど動揺してるみたい。
私は静かに息を吐いた。
とりあえず、一旦話を変えよう。
「てか、名前なんていうの?」
「あっ、えと、冨上栄輔っていいます……そっちは?」
「榛名千歳」
「えぇっ、名前まで女子っぽいんすね」
その言葉に、少しギクリとした。
名前まで、ってことは、外見も女子っぽいって思われてるってこと。
私は内心顔をしかめながら、平静を崩さずにちょっと笑う。
「女子っぽいって……もしかして喧嘩売ってる?」
「いっ、いやいやいや!」
「買おうか?」
「ちがっ、違くて!すんませんマジで!」
冗談を言った途端、本気で頭を下げてくる栄輔。その素直さがおかしくて、思わず素で笑ってしまう。
この自然体な感じ、きっと視聴者に人気出るだろうな。
今後、こんなにも純粋な彼にも冷たい対応を取ることになると思うと、少し胸の奥が痛んだ。
