慌てて聞こうとしたところで、京は少し気まずげに目を伏せた。

「……ま、知らない方がいいかもしれないけど」

その言葉に、背筋が凍る。

何、それ。
それじゃ、まるで……私が落ちたみたい。

まさか、本当に落ちた?

青ざめる私に、京がスッと自分のスマホを差し出す。

その画面には、二次審査通過者の名前が並ぶプロジェクターの写真。

どうしようもなく鼓動が早まるのを感じながら、私は微かに震える指で画面を拡大した。

すると。

『9位 榛名千歳』

すぐに、私の名前が視界に飛び込んできた。

……え?

通ってるじゃん。

慌てて京に視線を向けると、肩を震わせて笑っている。

「あっはは、ガチで騙されてんの可愛すぎ」

目の端に涙を滲ませ本気で楽しそうな京。

最悪……ちょっと考えれば引っかかんなかったのに。寝起きでまだ頭がぼーっとしてるから……。

唇を噛む私の頭に、ポン、と手を乗せてくる京。

「ごめんね〜、千歳ちゃん。怒った顔見たくて、つい」

いつの間にか、ちゃん付けになってるし。

眼鏡の奥の瞳が、愛玩動物を愛でるみたいに細まってる。

……もう、この人の言うこと何も信じないようにしよう。