さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜




「…………っ」



結局、私は縋るように栄輔の肩口に顔を押し付けた。


泣いちゃダメだ。栄輔まで困らせる。関係ないのに巻き込んじゃダメ。


そう分かっているのに、身体は全く言うことを聞いてくれない。

それどころか、さっきから、微かな震えが止まらなかった。



「ほんと、何もっ……」

「うん」


「なんでも、っ、……」

「分かりました」



さっきまではどこか遠慮がちに添えられていた栄輔の手が、ぎゅ、と私を引き寄せる。

胸元に泣き顔を隠すみたいにして、崩れ落ちないようにしっかりと腕を回された。


ふわ、と洗い立ての服みたいな優しい匂いがして、そのせいで安心して、さらに涙が止まらない。


熱い。

苦しい。

痛い。



「……一旦泣けるだけ泣きましょ。ね」



とん、とん。

あやすように、一定のリズムで背中を叩いてくれる栄輔。


私はもう何も喋ることはできなくて、栄輔の胸に額を押し付けながら、ただ声を殺して泣き続けるしかできなかった。