その夜。
さすがに今日は早く寝ないといけない、と私は焦っていた。
だって今日のレッスンは結局最後まで散々だったし、明日も朝の5時から丸一日ぶっ通しで練習がある。
少しでも長く身体を休めないと、また今日みたいにみんなに迷惑をかけてしまうだろうから。
──って、理屈では分かってる、んだけど。
目を閉じるたび、今日の遥風の表情が脳裏に蘇って、心臓がギュッと痛んでしまう。
それ以外にも、昨日この部屋であったこととか、その時の感覚とか、とにかくいろんなことを思い出してしまって、全く眠れそうになくって。
……この部屋にいるから、色々思い出してダメなんじゃないかな。
眠くなるまでどこか別の場所で気分転換して、眠くなってきたらまたこの部屋に戻るとか、そういうふうにした方がいいんじゃないか。
そう考えた私は、できるだけ物音を立てないように部屋を出た。
夜の廊下は、しんと静まり返って、冷たい空気が流れている。
私は寝ている人を起こさないように足音を忍ばせながら通り抜けて、そのままガチャ、とコモンルームへ続く扉を開けた。
すると、その瞬間──
息が止まった。
