さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



納得していないように眉を下げる栄輔の隣で、雪斗も頷く。


「キツイなら言えよ。途中で倒れられた方が面倒なことになるから」

「大丈夫、大丈夫」


そう、大丈夫。

そう言い聞かせておけば、本当に大丈夫になる気がして、わざと明るく笑い飛ばす。


と、そんな私たちのやりとりを遠目から見ていたMr.Dも、私の様子に疑問を持ってるみたいで、腕を組んだまま怪訝そうに首を捻っていたけれど。

私が真っ直ぐに視線を送り返すと、仕方ないとでもいうふうに息を吐いた。


「All right, then(大丈夫なんだな)」  


それから、パンッ、と大きく手を叩く。


「Everyone, back to your positions! We’re going from the top again!(よし、全員ポジションに戻れ!頭から行くぞ)」


その一言で、何事もなかったかのようにスタジオの空気が切り替わり、練習が再開された。


私もみんなと同じように頭のポジションへ向かう。

それでも、頭の中はずっとさっきの遥風とのことばっかりで、パフォーマンスに集中なんて微塵もできないままだった。