「……大丈夫?千歳」
ちょうど隣のポジションにいた雪斗が、周囲を気にするように声を潜めて話しかけてくる。
「お前、さっきから顔色悪いけど……」
「ね、俺も思ってたっす。もしかして体調悪いすか?」
少し離れたところにいた栄輔まで近づいてきて、心配そうに私の顔を覗き込んだ。
……やばい、みんなに余計な心配をかけてしまってる。
帰国を目前に控えた今、私の個人的な問題で、みんなの練習時間に影響を出すわけにはいかない。
特に今は、個人の完成度を上げるよりも、全員でできるだけ合わせて作品として成熟させていくことが大事な時期なのだ。
私一人のせいで止めたり、ましてや途中で抜けるなんて、絶対できない。
「……大丈夫」
無理やり、口角を上げた。
自分でも分かってしまうくらいぎこちない笑顔で、できるだけ声を明るくする。
「最近寝不足なだけ。今日はちゃんと寝るから」
「……そうすか?無理しないでくださいよ、ホントに」
