さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


「お前、本当にアレにバレてねーんだよな?」

アレ、っていうのは峰間京のこと?
『あいつ呼び』からさらに降格してる……。

内心呆れつつも、私は安心させるように微笑む。

「大丈夫、バレてないって。心配しすぎ」

私の言葉に、盛大にため息を吐く遥風。

「気をつけろよ、マジで。あいつ貞操観念やべーだろ」

「まあ、それはそう……」

私は軽く肩をすくめる。

なんとなく、ただの女好きってわけではないんだろうけど、それでも流石にいろんな女の子に手を出しすぎだ。

ある日急に、女の人に刺されました、なんてことになっても多分可哀想とは思わない。

遥風の少し不機嫌そうな視線にどこか居心地の悪さを感じて、私は何気なく話題をすり替える。

「遥風、今日なんか服の系統違う?」

「そ?」

困った時は目についたものの話題。私は今日の遥風のファッションに触れる。

オーバーサイズのスウェットに、ゴツめのチェーンアクセサリーとピアス、カーゴパンツ。
いつも、撮影の時は王子様っぽい清楚系が多かったのに、今日はどこかラフでストリートっぽい雰囲気。

「……もともと、こういう方が好きなんだよな」

確かに、彼の部屋着はいつもストリート風が多い。最初に話したときのパーカーなんかも、どちらかというとそっち系だった。

「別にもう、親からのウケとか気にしなくてもいっかなって思って」

そう言って笑う遥風の表情には、どこか吹っ切れたような色が浮かんでいた。
その純粋な笑顔を見て、ちょっとドキッとしてしまう。

「お前の好みには合わせるけど。どういう系統が好き?」

「ええ、遥風の好きな服着ればいいと思う……」

そんな他愛のない会話をしながら、私たちはいつも通りレッスンスタジオへ足を踏み入れた。