さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



反射的にキャッチした霞に、京は薄く笑いながら告げた。


「ちなみにそれ、タマ抜いてあるからね」

「はっ?」


霞はさすがに慌てたように手の中の銃を見下ろし、半信半疑のままで路地裏の誰もいない壁際へ銃口を向ける。


そして。


──パンッ!!!


鼓膜をぶち抜く乾いた銃声が、路地裏に炸裂。


「っ……入ってんじゃねーかよ!!」


そんな霞の怒声が弾けたときには、もう。

私は京に腕を引かれて、暗い路地から駆け出していた。


っ、は、速すぎる……!

足がもつれて、いつ転んでもおかしくない。なんか前にもこんなことあったな……!!


半ば引きずられるみたいな勢いで走らされながら、私は必死に言葉を投げかける。


「京、ちょ、はやっ、い……!!」


聞いてるんだかいないんだか、振り返りもしない京。


そのまま開けた通りに出たところで、ようやく足が止まったかと思ったら──

ぐい、と引き寄せられて。


次の瞬間には、彼の胸元にキツく抱き込まれていた。


「……っ?!?!」


遮られる視界。匂い立つ大人びた香水。

一瞬にして、頭が真っ白になる。


いや……ちょ、待って待って待って待って本当に何考えてんのこの人……!!