さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



カチャ。



先ほどの冷たい金属音が、耳朶を打った。


……え?

恐る恐る背後に視線をずらすと、そこに立っていたのは──


「ダメじゃん」


ふ、と軽薄に笑う、聞き慣れた声。


「どんだけ発情してても、周りは見てなくちゃ」


──峰間京。


片手はポケットに突っ込み、もう一方の手には、いつの間にくすねたのか、霞の拳銃が握られていて。

表情は笑っているけど、その目は暗く淀み、いつ引き金を引いてもおかしくない危うい空気感を纏っていた。


「は……」


言葉を失う霞。

拘束が緩んだ隙に、京は私の腕をグイと強引に引いて。


次の瞬間、私は霞ではなく京の胸元に抱き寄せられていた。


「おい!」


声を荒げる霞をよそに、京は手の中の拳銃をふっと興味なさげに一瞥。

そして、用済みになったそれを、ひょいっと無造作に放り投げた。


……って、いやいやいやいや何やってんの?!


あまりに雑な扱い方に、全身から血の気が引く思いだった。

空き缶じゃないんだから!!万が一暴発でもしたらどうするつもりなの、この人……!!