さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



千歳が、俺以外の奴とキスしてるのが嫌だった。

千歳とキスできるのは、俺だけでありたかった。

千歳のことを、俺だけのものとして閉じ込めておきたかった。


自覚した瞬間、プライドやら怒りやらで覆われていた視界が、一瞬にして澄んで──


ぞくり、と震える背筋。



……ああ。

気づいてしまった。



これが──

人を好きになるって感情なのか。



ドッ、ドッ、ドッ、と耳の奥で脈打つ鼓動。

刺激に慣れきって凍りついていた心臓が、じわじわと熱を帯びてゆく。



……やべぇ、これ。

自分じゃ到底コントロールできない、妙な感覚。



吐き気がするほど、苦しいのに──

目眩がするほど、甘い。



その言いようのない快楽に、俺はしばらく息を止めていたけれど。


やがて──

押さえた口元から、ふっと笑みが零れた。